どのシステムでもそうなのだが、特に現実世界に近い世界を背景とするセッションの場合、問われるのは「PCの知識」ではなく「PLの知識と経験」ではないだろうか。
特に、GURPSにおける死にスキルとして名高い[常識](有利な特徴:10CP)がそうだろう。
この特徴、持っていれば常識的なアドバイスをGMから貰えるものではない。
むしろ、「貴様、その行動で本当に良いのか5秒やるから氷水に頭突っ込んで考え直せ。」と言い渡されるものだ。
…判るだろうか。
これは、常識的に振舞うヒントを貰える特徴ではない。
むしろ
シナリオ終了時に総CPが10ほど減っている可能性がある特徴だということが。
これが、ファンタジー世界等を筆頭とする「現実社会における常識」が全く通用しない世界ならまだ良い。
飾りでついている、という程度だ。GMとて然程その世界に対する知識があるわけではない、突っ込まれる事も少なかろう。
だが、現実世界に近い世界ほど問われるのはPLの常識力だ。
常識、というものは社会経験が物を言う、と言っても過言ではない。
常識:
普通、一般人が持ち、また、持っているべき標準知力。専門的知識でない一般的知識とともに理解力・判断力・思慮分別などを含む。
広辞苑 第四版より
この一般的知識、というやつが一番の曲者で、これこそが「社会経験による裏打ち」に基づく知識となるだろう。
…この、社会経験というもの。年齢を経れば身につくというものではない。
寧ろ、どれだけ「社会」と向き合って生きてきたかという密度が重要になる。
流石に小学生程度の年齢のものが一般的な大人よりも社会経験を積むのは難しいが、一般的な小学生程度の年齢のものよりも社会経験少ないんじゃないかと思えるような大人だっている。
確かに、常識というものは時代の流れによって変化する。
変化するが、その変化が社会通念上公序良俗に反するような形で変化することはない。
平たく言うなら他人に迷惑をかける行為が常識として定着することはないだろう、と言いたいわけだが…昨今の若人を見ているとその辺りは甚だ不安でもある。
話がそれた。
冒頭のGURPSの[常識]に話を戻そう。
これが死にスキルだと呼ばれる所以は大体上で述べた通りと私は考えている。
TRPGは対話と会話のゲームだ。
そして、対話や会話というものも、PL自身の技能が問われる。
TRPGを本当に愉しみたい、と思うならばルールブックを暗記するよりも先にまず覚えなくてはいけない物があるのではないだろうか?
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